ペープサート・スケッチブックシアターの作り方【塗りかた編】
こんにちは!
イラストレーターのイシグロフミカです。
こちらの記事では、保育園・幼稚園で大活躍の ペープサート・スケッチブックシアター などを作る際の 色ぬり について、ご紹介します♪

いろんな画材を試してみました!
イラストレーターとしてのお仕事で、ペープサートやパネルシアター、またスケッチブックシアターなどの 型紙イラスト を担当する機会を多くいただいております。
先日も新しいお仕事として
「かわいい!たのしい!スケッチブックでシアターあそび」(自由現代社)
という書籍を紹介いたしました。

スケッチブックでシアターあそび
こちらの書籍の詳しい内容やおすすめポイントについては、別でまとめておりますので、そちらもあわせてご覧いただけたら嬉しいです。
こちらをインスタグラムの投稿でもご紹介したところ、色の塗りかたについて、たくさんの方からご質問をいただきました。というのも、私が担当させていただいたシアター系の書籍のほとんどが、型紙をコピーして使うもの、つまり型紙はモノクロで、自身で色をつけていただかなくてはいけない仕様となっています。
くまさん
- えぇ〜
自分で色ぬりするの!?時間ないし、めんどくさいよー!
たしかに、毎日の保育で忙しい現場の先生たちにとって、自分で色を塗るよりカラーデータを印刷して使えるものや、切り離してすぐに使えるカラーの商品を使うほうが手間が少なくて良いようにも感じます。
イシグロフミカ
- でもね、
あえてモノクロ型紙の本を選ぶ先生も多いんだって。手間は増えちゃうけど、それ以上に魅力的なことってなんなのか、塗りかたの前に少し紹介するね♪
モノクロ型紙のメリット
カラーデータやカラーの商品に比べたら「塗る」という手間が増えてしまうのは事実。それでもモノクロ型紙を選ぶ理由って…?
自分の好きな色にできる!
草花の色やキャラクターの服の柄などに個性を出せるから好き!という声が1番多いように思います。園の雰囲気や子どもの様子などに合わせて作れるのもいいですね♪
カラーのものより比較的安い!
急にお金の話になりますが、カラーデータを収録したCD-ROMが付いた書籍は、モノクロのものに比べるとやはり少し高くなってしまいがちです。仮に同じ値段だとしても、収録されているお話の「数」が違うなどの差は出てきます。毎回同じシアターをするわけにはいかないので、量の多さも魅力の1つなようです。
子どもが喜んでくれる!
単純に、「すごく子どもの反応が良かった!」という感想もあります。明確な理由はわかりませんが、先生が塗ったもののほうが、より子どもたちにとって親しみやすい安心感があるのかもしれません。
また、先生が塗っているところを子どもに見せたり、もしくは、子どもと一緒に塗ったりなど使い方に幅があるのもいいな、と思っています。
おそらく他にもありそうですが、先生がたからよく聞くお話は以上のような3点です。ただ、彩色済みのものが便利なのもまた事実なので、2つを併用しながら上手に活用していただけるといいかなと思います。
さて、前置きがかなり長くなってしまいました。
いよいよ本題「色の塗りかた」についてご紹介していきます。

使い方にあった画材を選ぼう!
まずはペープサートやスケッチブックシアターのイラストを塗るときに使えそうな画材はどんなものがあるのか確認してみましょう♪
画材いろいろ
- 色えんぴつ
- プラスチック色えんぴつ
- クレヨン
- 絵の具
- 水性マーカー
- 油性マーカー
- アルコールマーカー
ざっとではありますが、比較的手に入りやすく、ご家庭や園でも使えるものとなるとこのあたりかなと思います。
ご家庭でシアターをするなら
「ご家庭で」つまり、シアターを見る子どもとの距離が近い場合は
12色などある程度の色数を揃えてもお安めで、特別な技術がなくても塗りやすいので、気軽に始めやすいのもポイントです。
「プラスチック色えんぴつ?」と思われたかたもいらっしゃるかと思いますが、サクラクレパスさんの「クーピー 」のような、プラスチック製で全体が芯でできているのが特徴の色鉛筆です。
サクラクレパス 色鉛筆 クーピー 12色
芯が折れにくいのも特徴の1つで、まだ力加減が難しいお子さまでも塗りやすいので、一緒に色ぬりを楽しむのにもおすすめです。
プラスチック色えんぴつは他のメーカーさんからも発売されていて、三菱鉛筆さんの「ポンキーペンシル」も使いやすかったです。

Ponky PENCIL 12色
「クーピー」も「ポンキー」も同じプラスチック色鉛筆なので、発色は同じくらいかと思いますが、クーピーは消しゴムで消せるのが特徴で、ポンキーはそれができない代わりに、プラスチックなど様々な素材に描けるのが特徴です。
ポンキーは牛乳パックやペットボトルにもきれいな発色で描けるようなので、それを試してみたくて、私はこちらを選びました。
すぐ目の前の子どもたち数人にシアターを見せるなら、色鉛筆やプラスチック色鉛筆の発色で十分だと思います。手に入りやすさや塗りやすさなども考慮に入れて、おすすめとさせていただきました。
園でシアターをするなら
「園で」つまり、シアターを見る子どもとの距離が遠い場合は、
子どもとの距離が遠い場合、遠くから見ても絵や色がはっきりわかることが大切です。よく見えないと、子どもは飽きてしまったり、集中できなかったりすることがあるので、気をつけたいポイントです。
「はっきりわかる」という点では、クレヨン・絵の具・水性マーカー・油性マーカー、もクリアしているので、もちろん使っても良いと思うのですが、実際に私が塗ってみて少々デメリットに感じたことをまとめておきます。
● クレヨン:
・細かい箇所が塗りにくい
・塗った後にこすると色がのびてしまう

広い部分を塗るとき向きかもしれません。
● 絵の具:
・準備や片付けに手間がかかってしまう
・筆づかいが難しい
● 水性&油性マーカー:
・広い箇所が塗りにくい
・塗りむらや塗りすじが残ってしまう

「きれいに」塗るのは技術がいりそう…
私が塗ってみて個人的に感じたことなので、ご参考程度に。特に絵の具は、上手なかたが塗ればとてもきれいに仕上がると思うので、ご自身でいろいろと試してみていただけると良いかと思います。
そんなわけで、プラスチック色えんぴつとアルコールマーカーのW使いがおすすめ!となったのですが、「アルコールマーカーって?」と思われたかたもいらっしゃるかと思います。比較的よく知られているかなと思うのが「コピック」という商品です。

青(B16)と黄緑(FYG2)を試してみました。
以前は漫画家さんが使うもの、というイメージが強かったコピックですが、その塗りやすさと仕上がりのきれいさで、今や多くのかたに親しまれている画材です。
ただ他と比べるとちょっと価格が高めなのが悩みどころなのですが、それでもおすすめしたいので、実際に塗ったものをお見せしながらご紹介します。
実際に塗ってみよう!
先日3月29日第4回目のインスタライブで実際に塗ってみたのがこちら!

型紙イラストを画用紙にコピーしました。
「かわいい!たのしい!スケッチブックでシアターあそび」(自由現代社)
のなかの「アイアイ」の1場面を塗ってみました。
使った画材はこちら
- コピックスケッチ(アルコールマーカー)
- ポンキーペンシル(プラスチック色鉛筆)
- くるりら(クレヨンタッチの色鉛筆)
- Do!POSCA(水性マーカー)
ちょこっとだけ使ったものも含めると、4種類の画材を使いました。画材別にどんな風に使ったかご紹介します。
コピックスケッチ(アルコールマーカー)
椰子の実、アイアイ、島、海などをコピックで塗りました。

色がスルっとのびる気がします♪
椰子の実全体を茶色で塗って、次に同じ色で右側だけ重ねて塗ります。

重ねたぶんだけ色が濃くなります。
にじんだりムラになることなく、きれいに色が重なりました。

アイアイのお顔は肌色で♪
筆ペンタイプのほうは、ペン先が細いのでこまかい部分もはみ出しにくくて塗りやすかったです。

アイアイは椰子の実と同じ色です。
重ねたぶんだけ濃くなるので、使い慣れてきたらグラデーションなどにも挑戦したいです。
ポンキーペンシル(プラスチック色鉛筆)
椰子の幹の部分をポンキーペンシルの「ちゃいろ」で塗りました。

幹なので塗りすじが残っていてもいい感じに。
アイアイの顔と腕の間や、腕と足の間など狭い箇所があったので、鉛筆削りでペン先を調整できるポンキーを使いました。
くるりら(クレヨンタッチの色鉛筆)
ここに来て初登場の画材で申し訳ないです…!「くるりら」はぺんてるさんから発売されている ” クレヨンタッチの色鉛筆 ” ということで、カテゴリ分けが難しかったので、どこでご紹介していいやら迷って、結局最後になってしまいました。

椰子の葉は「きみどり」で♪
” クレヨンタッチ ” の名前の通り、プラスチック色えんぴつと比べても芯がやわらかく、なめらかな塗り心地でした。手への負担が少ない感じが気に入っています♪

アイアイのほっぺは「だいだい」でぐるぐる!
さらにクレヨン独特のカスが出ず、描いた直後に指で触っても色がのびることもありませんでした。
とってもいい! …のですが、1つだけ残念なことが。「くるりら」は今のところ8色セットか12色セットのみの販売で、単品では販売していないようです。減りが早い色が必ず出てきそうなので、1色ずつ買えるとありがたいなぁと思います。
Do!POSCA(水性マーカー)
最後にイラストのなかで目立たせたいもの(今回の場合は「アイアイ」)をポスカの極細サイズ Do!POSCA で縁取りしました。

型紙イラストの線をなぞっていきます。
こうすることで、遠くの子どもにもよりはっきりとイラストが見えるようになります。
まとめ
いかがでしたか?
4種類の画材を使って、私のおすすめな塗りかたをご紹介しました。
インスタライブ中にコメントでコピックの色番へのご質問が多かったので、まとめておきます。

塗る前と比較できるようにしてみました。
FYG2:黄緑(島)
FBG2:水色(海)
CM26:肌色(アイアイ)
CM33:こげ茶(幹の影)
E97:茶色(アイアイ)
B16:青(海)
E33:うす茶(島)
コピックは色の種類がとーっても豊富なので、自分のイメージに合う色がきっと見つかると思います。ぜひお気に入りの色探しを楽しんでみてください♪
イシグロフミカ
- モノクロ型紙の場合、避けては通れない「色ぬり」。その作業が少しでもストレスが少なく、むしろ楽しい時間になればいいなと思い、今回いろいろ紹介させていただきました。
今後も新しくおすすめな塗りかたや画材を発見したら、随時ご紹介していきたいと思います。

お気に入りの画材が見つかりますように♪
最後に、今回使った「アイアイ」の型紙は、こちらのブログでご紹介しています。あわせてご覧いただけると嬉しいです。
「オトナにもコドモにもわくわくを届けたい」nowanowan 代表。 幼稚園の先生として働いたのち、2009年春よりフリーランスのイラストレーターとなる。イラスト制作のほか、これまでに8冊の著書を出版し、ワークショップの講師もつとめるなど活動は多岐に渡る。自身が保育の現場で働いていた経験から、保育者や保護者の力になりたいという想いが強く、試行錯誤を続けている。